2021.08.30 ・ イベント・展示会 / スタッフブログ
ナイフアトリエの職人が製作したオリジナルナイフの開発ストーリー第五弾をご紹介いたします。
7/12の「ナイフの日」に合わせて、藤次郎ナイフアトリエの職人達がオリジナルナイフを製造しました。その開発ストーリーをお届けします。
今回の開発ストーリーは
ナイフアトリエの職人歴8年目の松川です。
松川はまず、デザイン設計にあたって魚をモチーフにしたナイフを製作することにしました。
ナイフ作りにあたってデザイン重視にするあまり、使い心地がおろそかになる場合もあります。
今回はデザインを重視しながらも、扱いやすさを徹底的に追求したナイフを目指します。
そしてもう1つのテーマとして、今まで使用したことのない素材や工法を取り入れることで、作品づくりを通して自身の成長の機会にしようと考えました。
刀身の材料は青紙スーパーを使用。いわゆる3枚合わせと呼ばれる、芯材の青紙スーパーを側面のステンレスで挟んだ3層構造になっています。
青紙は鋼にステンレス系の鋼材を混ぜた材料で、硬度が高く切れ味が高いのが特徴。中でも青紙スーパーはさらに硬度が高く(HRC67)、鋼系の材料の中では一番切れ味が高いとも言われています。
まずは鍛造の工程です。材料を炉で赤らめ、ハンマーで繰り返し鍛えます。
徐々にデザインしたナイフの形状に近づけていきます。
その後コンタマシンと呼ばれる金属を切断する機械を使って外側を削ります。
コンタマシンで削り切れなかった細かい部分は、糸鋸をつかって手作業で削っていきます。
次の成型の工程で、鍛造で生じたゆがみを取り除いて、余分な部分を切削して形を整えます。
成形が終わり、刀身の大まかな形状が出来上がったら焼入れを行います。
焼入れの後は研ぎの工程です。
アウトドアでの使用を考え、耐久性と切れ味を両立させた刃付けにしました。
刀身の工程も大体終わり、最後は磨きの工程です。
作業の時点では分からなかったそうですが、この磨きの工程が全体の作業時間の9割を占めることになります。
時間を見つけてはひたすら丁寧に磨いていきます。
毎日時間をつくって作業を行い、ようやく刀身磨きの工程が完了しました。
続いて、和包丁と同じくハンドルに差し込む中子(なかご)部分を作っていきます。
ナイフが完成したら見えなくなる部分ですが、ここにも手間をかけて凹凸の形状にしていきます。
和包丁でいう桂の部分は銅を使用します。
銅は使っていると徐々に色が変化するので、最初は赤っぽく、徐々に黒ずんでいく過程を味として楽しめます。
刀身を差し込む部分はあえて表面を荒らしました。
ハンドルに使用する材料は花梨(カリン)に決めました。
銘木で比較的手にいれやすい花梨ですが、その中でも希少で価値の高い瘤(コブ)の部分を使用します。
こちらは端材のオークションで購入したそうです。
本来花梨の瘤は使用する位置によって磨いて綺麗な模様を出すことが難しいとされています。
しかし今回はナイフのハンドル部分に使用するということで磨きの技術も試されます。
丁寧な磨きの工程を経て、美しい模様を出すことに成功しました。
ナイフが完成したので、シースを作っていきます。
初めてのシースづくりだったそうですが特に問題なく作業を進めていき、赤色が特徴のシースが完成しました。
出来上がったナイフを持ったせてもらうとあまりの手触りの良さに驚きました。
松川自身もその手触りや持ち心地には特に神経を使って作り上げたそう。
アウトドアの荷物は出来るだけ軽くてコンパクトしたいという方にもちょうどいいサイズ感となっています。
実際にキャンプなどでナイフを使用してみて、その使用感をもとに今後のナイフ作りに活かしたいとの事でした。
ナイフの完成後、松川はキャンプで実際にナイフを使ってみたそうです。
切れ味が良く取り回ししやすいので調理はしやすく、木を削るといった作業も問題なく出きたとのこと。
唯一気になった点は、幅広い用途で使おうとすると若干長さが足りないと感じることもあったようです。
ナイフは実際に使ってみないと良い部分や悪い部分が見えにくいです。
今後、実際の使用感をもとに更に使いやすいナイフが作られていくのが楽しみです。
開発ストーリーPART.1を見る
開発ストーリーPART.2を見る
開発ストーリーPART.3を見る
開発ストーリーPART.4を見る
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※製作したナイフの販売や受注生産は行っておりません。予めご了承ください。
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