2022.01.13 ・ 包丁の知識 / 形状について / スタッフブログ
三徳包丁は本当に万能なのか?家庭料理でよく使う肉・魚・野菜を実際に切り比べ、できること・できないことを包丁メーカーが検証。初心者が失敗しない選び方も解説します。
※本記事は、2022年1月13日に公開した内容を元に2025年12月に包丁メーカーとしての専門的観点・最新の検索ニーズを踏まえて加筆・再編集しています。
※三徳が正式名称ですが、この記事では、一般的に呼ばれる「三徳包丁」という呼称を使用しています。
私たちは、日々お客様から
・家庭での普通使い、何でも切れる包丁ってどれ?
・包丁って大きさも値段もピンキリで、どれを選べばいいの?
・初心者はなにを基準に包丁を選べばいいの?
といった、多くのお問い合わせをいただきます。
これらのお問い合わせに対して私たちがおすすめするのは、
万能包丁の代表格「三徳包丁」。
本記事では、包丁メーカーとして包丁の設計・製造・品質管理に携わると同時に、直営店舗で日々お客様の声を聞いている立場から、家庭料理でよく使われる食材を実際に切り比べ、三徳包丁が「どこまでできて」「どこが不得意なのか」を整理しました。
なお検証には、包丁の設計・刃付けを熟知したスタッフ監修のもと、調理経験の浅いスタッフによる実使用を取り入れ、包丁初心者が感じやすいポイントも合わせて検証しています。
【検証条件と使用した食材】
使用包丁
・TOJIRO PRO 三徳170mm(両刃)使用した食材
鶏肉、豚肩ロース、あじ、キャベツ、にんじん、りんご※一般的な家庭料理を想定し、特別な下処理は行っていません。
※本検証では、自社製品を使用していますが、一般的な家庭用三徳包丁のサイズ・形状を想定した評価を行っています。
目次

三徳包丁は、「魚・肉・野菜」の3つを切れることからその名がついた、日本生まれの家庭用包丁です。
昭和期、台所の省スペース化により「複数の包丁を使い分けなくてもよい包丁」が求められたことを背景に、
・日本で長く使われている菜切包丁の直線的な刃
・明治時代に日本に入ってきた牛刀の切っ先形状
両方の特性を取り入れて進化してきました。
現在は海外でも「SANTOKU」で通じるほど世界的に認知されています。


鶏肉は、皮・脂の処理を含めてスムーズに切ることができました。 刃先を使った細かい動作もしやすく、家庭用として十分な操作性です。
専門的観点:
三徳包丁は刃の身幅があり、食材を安定させやすいため、 柔らかい肉の処理では扱いやすい形状です。半面、筋切りや不要な脂身を切り落とすなど、細かい作業を行うには大きすぎると感じることも。下処理などの細かい作業を行うときは、サイズの小さなペティナイフがあると便利です。
>>詳しくは【小さい包丁の選び方とペティナイフおすすめ】をご覧ください

厚みのある豚肩ロースも切ることは可能ですが、 一度で引き切るには刃渡りがやや短く、前後に動かす回数が増えました。
専門的観点:
三徳包丁は刃渡りが165〜180mm前後のものが多く、繊維の長い肉を一度で引き切るには刃渡りがやや短めです。
そのため、牛刀(210mm以上)と比べると前後に刃を動かす回数が増えるため、断面の美しさには差が出ます。ブロック肉をスライスするときなどは、刃渡りが長めの牛刀や筋引きを使うと、きれいに切り分けることができます。
初心者が感じやすいポイント
・断面をきれいに仕上げにくい
・力を入れすぎてしまいがち
>>牛刀について詳しくは【「牛刀」の魅力を紐解く】をご覧ください

小ぶりなあじであれば、頭落とし・三枚おろしは可能です。
ただし、
・ぜいご取り
・骨沿いの身はがし
では、片刃の出刃包丁と比べると精度は劣ります。
専門的観点:
両刃の三徳は片刃の包丁に比べ、骨に沿わせる作業で刃が安定しにくく、 身を削りやすくなります。そのため、片刃の包丁に比べ、角度のコントロールが必要になります。
また冊から刺身を引くこともできますが、刃渡り不足により、1回で引ききることができず、舌触りの悪い刺身になってしまいます。
初心者が感じやすいポイント
・切れないことはないけれど、作業しづらい
・思ったように包丁を動かすことができない


キャベツは非常に切りやすく、 直線的な刃がまな板にしっかり接地します。
半玉・1/4カットからの千切りもスムーズでした。
「キャベツの千切りをよく作る」という方にはとてもおすすめな包丁です。

硬さのあるにんじんも問題なく切ることが可能。 輪切り・拍子木切り・千切りまであらゆる切り方に対応できます。
三徳包丁の一番の得意分野!

りんごを切るという動作には、「食べやすい大きさにカットする」と「りんごの皮をむく」という2つの切り方があります。三徳は硬いりんごをカットすること自体は大得意ですが、皮むきでは身幅の広さがネックになり、疲れやすく感じる場合もあります。
専門的観点:
皮むきのしやすさを優先する場合は小型のペティナイフがおすすめですが、硬いりんごを半分に割るなどの作業はしづらくなります。
優先する作業によって包丁を使い分けることもおすすめします。
上記の検証からもわかる通り、三徳包丁は、家庭料理の大半を無理なくこなすことができる包丁です。
一方で、
・刺身を美しく切り分ける
・大きな塊肉を一気に切る
・皮むきなど細かい作業を連続して行う
といった用途では、専用の包丁に軍配が上がります。
・初めて包丁を購入する方
・包丁を何本も持ちたくない方
・家庭料理中心の方
・海外の方へ日本製包丁ギフトを探している方
三徳包丁はとても合理的な万能包丁であることが分かりましたが、三徳包丁ならどれも同じ、というわけではありません。
私たちは包丁メーカーとして、製造などに携わる一方、直営店舗では日々お客様から
「今使っている包丁は重すぎて使いづらい」
「家の包丁が切れない」
「お手入れが面倒で」
といったリアルな声も数多く伺っています。
その経験から、家庭用として失敗しにくい三徳包丁には共通点があると考えています。
【失敗しにくい三徳包丁の条件】
・調理の負担を軽減できる切れ味のよさ
・心地のいい重さ
・サビづらさや、研ぎやすさなど、お手入れのしやすさ
これらの条件を踏まえ、藤次郎では以下の三徳包丁をおすすめします。

・業務用設計をベースにしながら、家庭でも扱いやすいバランス
・中空設計のハンドルで、長時間の使用でも疲れづらい重さ
・つなぎ目のないステンレス一体構造で衛生的に使える
・迷ったらこれ!「初めての1本」「買い替えの1本」どちらにも選ばれやすいモデル
詳しくはこちら

・業務向けシリーズと変わらない切れ味
・初めての「藤次郎」として手にしやすいコスパ最強シリーズ
・重めの包丁が苦手な方におすすめ
・黒ハンドルの他に茶ハンドルタイプも。選べる楽しさ
詳しくはこちら

・切れ味はもちろん見た目にもこだわりたい方におすすめ
・心地よい重みで、安定性抜群。硬い食材が切りやすい
詳しくはこちら
A.牛刀は料理好きな方やプロの厨房で使われていますが、もちろん包丁初心者の方にもお使いいただけます。
しかし刃のラインの違いから、三徳包丁のように上からトントンと力を加える切り方では、食材の切り残りが起こる場合があります。
詳しくは、【万能包丁とは?特徴・選び方・おすすめを包丁メーカーが解説】をお読みください
A.三徳包丁は基本的に両刃です。ハンドルが左右対称であれば、左利きの人も右利きの人も同じ包丁をお使いいただくことができます。
藤次郎オンラインショップでは、商品詳細に「左右兼用」の記載がありますので、参考にしてください。
A.基本的には170mmを基準とした1サイズが多いですが、中には、小型三徳や大型三徳もご用意しております。
■ 藤次郎BASIC 小型万能150mm 4,950円 藤次郎のエントリーモデルの小型三徳は、120gと軽量設計。

手の負担を少なくしたいという方に好まれています。
■ 藤次郎 紬 小型三徳150mm 9,900円 フォギーな刀身とオーク材のハンドルで優しい印象の小型三徳で、コンパクトなキッチンで新生活を迎える方に選ばれています。

■ 藤次郎CLASSIC 三徳210mm 12,100円(税込) キャベツ1玉を一気に半分に切りたいなどの希望を叶える大型万能

著者:藤次郎WEB事業部
監修:藤次郎 品質管理部
最終更新日:2025年12月16日
※本記事の内容は、店舗で実際に寄せられたご相談内容も参考にしています。