包丁の知識

刃の向きと利き手

最終更新日:2020/03/24

包丁には大きく分けて両刃包丁と片刃包丁があります。この両刃と片刃の違いにより使い方や料理の仕上がりなどが大きく変わってくることもあります。また刃の付く方向により利き手の概念が生まれ、利き手が反対の場合では、全く使えない道具となってしまいます。

使い方に応じた刃が作業を支える

包丁には裏・表から刃が付く両刃包丁と片側のみから刃が付く片刃包丁があります。もともと日本で使われていた包丁は片刃の包丁が多く、海外ではほとんどが両刃の包丁です。両刃と片刃では使い勝手や料理の仕上がりにも違いが出るため、食材や調理法によって使い分けることが料理上手の第一歩といえます。

片刃包丁

片刃包丁

片刃包丁は刺身包丁や出刃庖丁、薄刃包丁、そば切り包丁など和包丁がほとんどで、洋包丁では骨スキや一部の牛刀や筋引きなどに用いられます。切り下ろした際、右刃の場合刃先がやや左に切り込み、切り離れがよく刻みものが手早くできることや、魚の身を下ろす際に骨に近い部分から下ろせること、また切った断面の美しさが優れていることから、職人の使用する包丁は片刃のものが多くなっています。また、野菜や果物の剥き作業には、両刃包丁より片刃包丁のほうが、刃のコントロールをしやすいため、皮を薄く剥く作業などには最適です。洋包丁で用いられる片刃包丁は、食肉加工産業など骨と肉を解体する作業で使用されることがほとんどです。

片側から刃が付いていることで、右利き・左利きの概念があり、打ち刃物の場合受注生産で対応は可能ですが、抜き刃物の場合、研削の型が逆のため型を新たに起こさなくてはならないため、大量生産を前提とした抜き刃物では対応は非常に難しいといえます。

両刃包丁

両刃包丁

両刃包丁は一般的な洋包丁に多く、和包丁では野菜を切る菜切包丁や三徳包丁、うどんなどを切る麺切り包丁に用いられています。両側から刃が付いていることから食材にまっすぐ刃が入り、左右とも同じように切ることができます。一般的な家庭の調理での使用であれば、最初の1本は両刃包丁が万能で使用できます。

よって、基本的には右利き・左利きは存在せず、どちらの利き手でも同じように使うことが可能です。ただし、牛刀包丁でも片刃で仕上げている包丁も存在し、食肉加工場の職人さんの場合は片刃の牛刀包丁を使われている場合もあります。なお、藤次郎株式会社の主体になる複合材の包丁では、刃の中心にハガネがある構造のため、物理的に完全な片刃の構造に出来ず、片刃にするには単層の材料を使用する必要があります。

また、表と裏の研ぎ方の比率によっては完全な両刃にならずに右利き・左利きの概念が生じる場合もあります。弊社では、以前では研ぎやすさを考慮して表6・裏4の若干右利き気味の刃付けにしていた場合もあり、メーカーによってこの比率がノウハウになる場合もあります。現在藤次郎株式会社では完全な5:5にて出荷しております。

日本の板前さんは右利きばかり?

板前

包丁も片手で持つ道具ですので、右利き・左利きの概念があります。しかし板前さんが刺身を切る場合、右手で包丁を持つことが多いとされていました。これは師匠から矯正されたということもありますが、お客様が刺身を取りやすいよう皿に盛るため、右で切り、左から刺身を並べていく作法が正しいとされていたからでした。このため左利きの板前さんでも刺身包丁は右で握ることが多いのです。

両刃・片刃の違いでもわかる通り、利き手で握る側に刃が付いている方がコントロールしやすくなります。片刃の包丁の場合、打ち刃物であればハガネの付け方を逆にすることで対応が可能ですが、抜き刃物の場合、研削の時点で専用の型が必要になり、大量生産向きの抜き刃物では生産することが難しく、なんとか受注生産で対応したとしても、自動研削機では対応できず、手作業での製造になり非常に高く、かつ納期もかかる包丁になってしまいます。
また、片刃の包丁の特徴的な構造である裏スキ構造も、抜き刃物で深く入れることが難しいため、一般的な出刃や柳刃包丁などはハガネ製のものが主流になります。

また、独自の包丁構造といえる片刃包丁を有する日本では、柄に関しても同様に右利き・左利きの概念が存在します。菜切などの柄の断面は左右対称の楕円形ですが、刀身の重い出刃や、繊細な力加減でコントロールが必要な柳刃包丁などは、片側に稜線が現れるしのぎ付の柄を使用します。洋包丁の構造と違い鋲での固定ではなく、差し込み式で固定する方法なので、逆向きに柄を入れる形で済むので、古来の日本の刃物産業は左利きに優しいグローバルな環境であるといえるのかもしれません。

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