2018.11.25 ・  /

ルーツは日本刀? 日本の包丁が世界一と言われる5つの理由

本記事はライフハッカーさんに掲載して頂いた記事の転載になります。

 

 

切れ味、耐久性、使いやすさなどの面から、世界中から高い評価を受けている日本の包丁。実際、新潟の包丁メーカー藤次郎の包丁は、約100カ国で取引されているほど。

 

なぜ日本の包丁はそこまで高い評価を受けるのでしょうか?

 

今回、新潟県燕三条で開催れた「工場の祭典」に参加し、藤次郎の工場見学をしてきました。

 

そこでわかった、日本の包丁が世界一と言われる5つの理由をご紹介しましょう。

1. 工程数が多い

Image: イチカ

工場見学をしてまず感じたのが、工程数が多いということ。量産品であれば15工程ほどあり、仕上がるまで30〜45日ほどかかるそうです。

 

たとえば、砥石で包丁の表面を研磨する研削という作業。

 

藤次郎では両面合わせて、8工程ありました。なんども研削することで、刃先がハマグリの貝殻のような美しい曲線に仕上があり、耐久性や切れ味がよくなるそう。これが海外などの安い包丁(1000円前後)だと、両面合わせて2工程しかしていないため、切れ味が落ちやすく、すぐに切れなくなってしまうんだとか。

 

また最終工程の刃付けという作業で刃の先端を砥石で仕上げるのですが、日本だと最低5工程あるそう。海外はそもそも砥石を使わないところもあり、それが切れ味を左右している要因となっているとのこと。

 

「その違いは、味の部分に出る」と藤次郎の担当者の小川さんは言います。

刺身を切るとわかるのですが、安い包丁は切った断面がボソボソになります。これは細胞を切っているからであり、すぐに生臭くなってしまいます。一方切れ味のいい包丁は、余計な細胞を切ることがなく、舌触りや味が良くなります。

精度の高いものを作るには、時間がかかるもの。日本の包丁が高いと言っても、藤次郎の包丁なら5000円前後から購入できるので、どうせなら日本製を選びたいところではないでしょうか。

2. 日本の包丁のルーツは日本刀

Image: イチカ

「日本刀はよく切れる」というのは知られた話ですが、日本の包丁と日本刀には深い関わりがあります。

 

「日本の包丁は、刀匠が起源」と、藤次郎の小川さん。

 

みなさんもご存じの通り、江戸時代には武士がいて日本刀を腰にぶら下げていました。しかし、明治時代に廃刀令がでたことで、帯刀が禁止に。

 

この廃刀令で影響を受けたのは、何も武士だけではありません。日本刀を作っていた刀匠にも大きな影響があり、刀匠から包丁メーカーへと転身するきっかけになったのです。

 

「もともと日本刀の切れ味は世界でも群を抜いている存在」とのこと。

日本人は体格が小さいので、一日中振り回しているわけにもいきません。切れ味を追及して一撃で相手を切るために進化したのが日本刀です。

 

一方、海外は鎧や鉄の甲冑を着るので、切れ味よりも折れないことを重視。西洋の騎士が持っているソードを想像してもらうとわかりやすいかもしれません。折れるということは死を意味するので、切れ味は追及しなくてもよかったわけです。重くて折れない、丈夫なもの。それが進化して、ヨーロッパの刃物になり、日本は日本刀をベースにした進化を遂げたわけです。

こうした話を聞くと、包丁が現代の日本刀とも言えそうです。日本男児で包丁を握っていない人は、侍ではないかもしれませんね。

3. 職人が手作業で行なっている

Image: イチカ

量産品と聞くと、機械が全てやってくれるように感じますが、包丁に関しては正しくありません。

 

「量産品でも職人の腕が重要」と小川さん。

包丁によって厚みや大きさがバラバラで、機械を使うよりもきれいにできます。

ただ、機械を完全否定しているわけではなく、自動化のために今まで何台もの機械を購入し、試してきているそう。それでも求めるレベルのものができず、重要な部分は職人が担当しているということでした。

 

これなら包丁作りに30〜45日かかるのも納得できますよね。

4. オーダーメイド品は10年の修行が必要

Image: イチカ

藤次郎では量産品とは別に、世界中から依頼があるオーダーメイド品にも対応しています。製造工程でもっとも大きな違いは、量産品は工程分けされている一方、オーダメイドは職人が最初から最後まで全行程を一人で行なうということ。鉄を叩いて成形するのも、刃先の仕上げをするのも、1人の職人が責任を持って担当します。

 

そのため、「量産品は1日3000本ほど作れますが、オーダーメイド品は10本しか作れません」と小川さん。さらにその職人が一人前になるためには、10年の修行が必要とのこと。料理人も一人前になるには相当の修行を積むといいますが、その料理人が使う包丁も修行を積んだ職人が作っているというわけです。

5. 複合材を使える

藤次郎の特徴の1つは、複合材を使った包丁作りが得意ということ。一般的に包丁といえば、ハガネや鉄などを組み合わせて作るのですが、複合材はハガネをステンレスで挟んだもの。ハガネとステンレス両方の特性を享受できるので、「切れやすい」「錆びにくい」「折れにくい」というメリットがあります。

 

実はこの複合材、日本独自の技術で日本メーカーにしか作れないということ。さらに日本の中でも、複合材を使った包丁材を作っているメーカーは、2〜3社しかないということでした。

 

藤次郎はそのメーカーから複合材を使った包丁材を仕入れ、加工・出荷しています。出荷量も日本でトップの実力とのこと。

 

年末が近づくにつれ色々と整理をしたくなるものです。せっかくなら調理器具の見直しもいかがですか?

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Photo: イチカ

Source: 工場の祭典藤次郎

島津健吾

 

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