日本の包丁と木のまな板の相性の良さは前述の通りですが、世の中は大量生産の時代が訪れ、樹脂製のまな板が開発されたことから、安価で品質が均一な製品が大量に使用されるようになりました。
また、元々まな板の文化のない海外から様々な素材のカッティングボードが輸入され、まな板と題する商品が多数溢れるようになり、良いものが分からなくなっていきます。さらに時代が変わり衛生管理の基準であるHACCP対応など、様々な時代の要請に応えなくてはならなくなりました。
一般的にポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂を用いたまな板が多く出回っています。価格的に手頃であること、重量がそれ程重くないこと、漂白剤などの殺菌を行っても木製に比べ劣化しにくいことなどが特徴としてあげられます。
抗菌剤などを練り込んだものや表面に抗菌加工を施している場合があり、衛生的にも優れているとされます。
また、最近では積層タイプの樹脂まな板も発売されており、表面をめくることで新しい面を使用できるものも販売されています。ただし、刃当たりが硬い場合が多く、ハガネ系包丁とはあまり相性がよくありません。ステンレス系包丁などで叩きや刻みを多く行う場合や、衛生管理が必要な現場などに最適です。
樹脂製まな板の刃当たりの問題を解決した樹脂系まな板の一種です。合成ゴムやエラストマー樹脂などの硬質ゴムなどが用いられます。ソフトな刃当たりが特徴で、若干重いものがありますが、衛生管理を行う現場で木製まな板と同様に刃を傷めにくいまな板として人気です。
ハガネ系包丁などオールラウンドに用いることが可能です。抗菌剤などの他木質材料などを配合した新しいタイプのまな板などがあります。製造法としては成型タイプと整形板を切断したタイプがあり、様々なサイズが選べることも特徴です。ただし、一般的に高価なものが多く家庭用よりも業務用として使用される場合が多いようです。
硬度が高すぎるため、まな板としては使用できません。もちろん木製や樹脂製に比べ手入れが簡単で、薬品にも侵されず綺麗に保つことが可能ですが、それ以上に包丁の刃を傷めるだけであり、チーズなどの切断に専用のナイフで用いる他ではあくまでも調理台やコネ台としての用途として存在する道具と考えた方が良いと言えます。事実、海外のWikipediaではCutting boardの説明にも包丁の刃を傷める原因が記されており、既に海外でも一般的になっているのです。
海外から輸入された大理石やガラスでできたカッティングボードは、まな板ではなく、あくまでもプレート(お皿)の延長線上にあるものです。カッティングボード自体は非常におしゃれで見栄えもしますが、包丁の刃を受け止める機能は持っていません。
大理石やガラス製のカッティングボードは、チーズなどを切断するために使用されるもので、チーズカッター自体もワイヤー製やデザートナイフのような刃の付いていないモノで切ることが多いことから、まな板の代用品ではないのです。特にパンなどのコネ台などをカッティングボードとして販売している業者も多いので、注意が必要です。
ほとんどを手元で食材を削り落とすように包丁を使う海外の人と同じ使用法であれば問題はありませんが、日本の包丁とまな板を多用する調理文化では、包丁自体の寿命を下げるだけで全く意味の無いものなのです。