2025.08.13 ・ 包丁の知識 / 包丁の基本 / 形状について
万能包丁とは何かを包丁メーカー藤次郎が解説。三徳と牛刀の違い、万能包丁の選び方、目的別のおすすめ包丁まで、毎日の料理に役立つ情報をわかりやすくまとめました。
「家で毎日使う万能包丁が欲しいけど、どれを選べばいいの?」
「値段に差があるけど、何が違うの?」
そんな疑問を感じている方へ。
この記事では、日々包丁の設計・製造・品質管理に携わり、
家庭用からプロ用まで数多くの包丁を送り出してきた包丁メーカー藤次郎が、
万能包丁とは何?
という基本から、三徳と牛刀の違い、選び方のポイント、そして目的別のおすすめ万能包丁までわかりやすく解説します!
買い替えを検討されている方はもちろん、今使っている包丁を見直したい方にも役立つ内容です。
目次
実は「万能包丁」という形状はないんです。
業界的にも正式な分類名ではなく、実際の製品設計では「使用シーンの幅が広い形状かどうか」という観点で扱われています。
つまり、1本でなんでも切れる汎用性の高い包丁の総称が「万能包丁」なんです。
そして、万能包丁の代名詞と言えば「三徳」をイメージする方が多いと思いますが、海外生まれの「牛刀」も万能包丁の一種。
どちらも、肉や野菜を切ったり、捌いた魚を切り分けたりと、その名の通り、「万能」な包丁です。
ここからは、「三徳」と「牛刀」2つの包丁の違いを見ていきましょう。

“三徳”は、日本生まれで万能包丁の代表格。ほとんどの家庭で使われているといっても過言ではないほど、私たち日本人にとって馴染みのある包丁です。
名前の由来の通り、「肉・魚・野菜」など、日常で使う食材を切ることができます。
対して”牛刀”は、外国生まれの万能包丁。三徳に比べてカーブを描いた刃のラインが特徴で、三徳の「トントン切り」に加えて、押し切りや引き切り、スイング切りと多彩な切り方ができます。また、サイズも豊富なため、料理作りが好きな方、プロの料理人を中心に選ばれています。
“三徳”と”牛刀”、それぞれの特徴と使い方を詳しく紐解いていきましょう。
昭和の時代は団地住まいが増加し、狭い台所で調理する家庭が多くなったことから、複数の包丁を揃える必要がない万能包丁への需要が高まっていきました。そんな中、日本で長らく使われていた菜切と明治に西洋から伝わってきた牛刀の長所を融合させた文化型が生まれ、その後の変化を経て誕生したのが三徳です。

今や三徳は日本の家庭に最も普及している包丁となり、多くの日本人にとって馴染み深い調理道具として定着しました。
切っ先は肉の筋切りや魚の下処理に使え、まな板との接地面が長い刃は葉物野菜のカットに優れます。
魚をさばくときなどは出刃や柳刃など専用の包丁が適していますが、日常的な調理であれば三徳で十分です。

三徳はまな板に対して垂直に刃を下ろして、トントントンと切る方法に適しています。
まな板に対して平行な刃の部分が長いので、切れ残りが少なくきれいに切れます。
また、刀身の幅が広く安定感があるため、硬い野菜を切るのにも向いています。
ほとんどのメーカーでは170mm~180mmの1サイズなので、「どのサイズを買っていいかわからない!」という方にはとてもおすすめです。
当社でも「初めての包丁として失敗しにくい形状」として
最も相談件数・購入数が多いのが三徳です。
牛刀は、一説によると文明開化で牛肉と一緒に日本に伝わったため「牛刀」と名前が付いたともいわれている、西洋生まれの万能包丁。
「牛」と付くから肉専用の包丁と誤解をされがちですが、実際に店頭やオンラインでも、この点を誤解されている方からのお問い合わせを多くいただきます。
実は、肉はもちろん、野菜にも魚にも適した包丁なので、ご安心を。

今では、料理上手な方のキッチンから、プロの厨房まで、幅広く使われています。

切っ先に向けて大きくカーブを描いている牛刀は、引き切りや押し切りなど、包丁を前後にスイングするように動かします。
また、切っ先をまな板に付けたまま、ハンドルだけを持ち上げて切ることで、千切りやみじん切りが効率よくできるため、一度使ったらもう他の形状には戻れない、本格派の万能包丁です。
180mm~300mmとサイズが豊富なので、身長や手の大きさ・キッチンの広さに合わせて選ぶことができる点も牛刀の魅力です。
三徳と牛刀の、どちらを選ぶか決まったら、次は万能包丁を選ぶうえで重要なポイントをチェックしましょう。
藤次郎では、すべてのシリーズに三徳と牛刀をご用意しています。
形状が決まった後は、以下の3点を基準に選ぶことで、自分に合った1本が見つかりやすくなりますよ。
①刀身の材質 ②ハンドル ③重さです。
包丁は、刀身の材質によって大きく性質がことなります。まずは代表的な包丁の鋼材をまとめてみました。
切れ味・研ぎやすさ・価格のバランスの良さから、藤次郎では多くのシリーズで「VG10」を採用しています。
選べない!という方には「VG10」をおすすめします。
※研ぎやすさや風合いを重視する方には白紙鋼など、
必ずしも万人向けでない鋼材が合うケースもあります。
| VG10 | 粉末ハイス鋼 | MV鋼 | 白紙鋼 | |
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|
| 切れ味 | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ |
| 切れの持続 | 〇 | ◎ | ◎ | △ |
| サビにくさ | △ | 〇 | 〇 | △ |
| 特徴 | 高い硬度を持つ高級ステンレス鋼。 切れ味・耐久性・研ぎやすさのバランスが非常に高い。 |
粉末状の材料を一気に焼き固めて作る鋼材。 微細な組織により鋭い刃ができる。 |
外科用メスにも使われるステンレス鋼。 切れ味が落ちにくい。 |
切れ味鋭く研ぎやすい鋼材。 一方で錆びやすいため、こまめな手入れが必要。 |
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ハンドル(持ち手)によって握り心地や耐久性が変わります。
長時間の調理での疲れにくさなど、好みが分かれるポイントです。
藤次郎のシリーズの中ではステンレスハンドルが、お手入れのしやすさ、疲れにくい重さで人気No1です。
| ステンレスハンドル | 積層強化材 | 積層強化木 | 木柄 | |
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|
| 耐久性 | ◎ | ◎ | 〇 | △~〇 |
| 重さ | 軽め | 重め | 軽め | 軽め |
| 特徴 | 衛生的で耐久性に優れる。 中空構造のため「意外に軽い」と驚く方が多い。 |
経年変化による収縮率が非常に小さい。 重みのある包丁が好きな方におすすめ。 |
木の層を樹脂で加熱圧着して作られる。 木材の質感がありながら天然木より耐久性・耐水性アップ。 |
手になじむ使い心地が魅力。 耐久性は木の素材によって変わる。 |
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毎日使う包丁が自分にあった重さかどうかはとても大事なところです。
重めの包丁は、包丁自体の重みを使って切ることができる反面、洗ったり仕舞ったり一連の作業の中で負担になることも。
軽めの包丁は洗ったり仕舞ったり取り回しがいいですが、切る力が必要になります。
一長一短の重さ問題、藤次郎のオンラインショップでは各商品ページに重量を載せていますので、今お使いの包丁の重さと比較して、選ぶ際の参考にしてください。

藤次郎オンラインショップの記載
藤次郎では20以上のシリーズで三徳・牛刀を展開していますが、その中から「迷いにくさ」「使う頻度の高さ」「満足度」の観点で厳選した3本をご紹介します。
価格:11,000円(税込)
藤次郎を代表する人気No.1の万能包丁です。
人気の秘密は、取り回しやすい軽さと衛生的で長く使える一体型のハンドル。
商品詳細はこちら
価格:11,000円(税込)
ダマスカス包丁は装飾性の高さから高価格帯が多い中で、本商品はダマスカス鋼の魅力を気負わず楽しめる価格帯も魅力です。
積層構造が織りなすダマスカスの模様は見た目にも満足感があり、毎日の料理を少し特別な時間にしてくれます。
価格:12,100円(税込)
210mmサイズの牛刀は、家庭向けの中でも、ゆとりのある刃渡りで作業効率を重視したい方に選ばれています。
食材を一度にカットしやすく、キャベツや肉のブロックなどもスムーズ。
中でも中空設計のステンレスハンドルのシリーズなら、
210mmでも重くなりすぎず、安定感と取り回しやすさを両立できます。
◇
| TOJIRO PRO 三徳 | 藤次郎 BASICダマスカス 三徳 | TOJIRO PRO 210mm | |
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|
| 鋼材 | VG10 3層鋼 | VG10 37層鋼 | VG10 3層鋼 |
| ハンドル | ステンレスハンドル | 積層強化材 | ステンレスハンドル |
| 重さ | 約150g | 約150g | 約155g |
| 価格 | 11,000円 | 11,000円 | 12,100円 |
| 詳しくはこちら | 詳しくはこちら | 詳しくはこちら |

価格:4,950円(税込)
軽量なので、手に負担がかかりにくい包丁を探している方にお選びいただいています。

サイズ比較

価格:9,900円(税込)
人気のステンレスハンドル×小型万能は、普段使いの万能包丁として、一般のキッチンから、単身用のコンパクトなキッチンにもぴったりです。
価格:12,100円(税込)
キャベツ丸ごと1個や大きめの肉の塊も一度に切ることができる長い刀身の三徳。

サイズ比較
少し変わったタイプの万能包丁も紹介します。ここでは三徳をご紹介していますが、すべてのシリーズに牛刀もございます。
価格:7,700円(税込)
1枚の金属板を折り紙のように精密に折り曲げて仕上げた一品。
個性的な形状で、おみやげやプレゼントにも人気です。
価格:41,800円(税込)
職人が一丁一丁鍛冶仕事で叩き作り上げて作る逸品。
叩き鍛えられた鋼が卓越した切れ味を生み出します。
価格:25,300円(税込)
重厚で奥深い漆黒の刀身を電解発色技術で実現した三徳包丁。
八角形状の黒檀柄は、使うほどにさらに硬さと耐久性が高まります。

万能包丁は、使う頻度が高い分、価格差=使い心地の差が出やすい道具です。
3,000円前後の包丁でも十分切れますが、切れ味の持続性や研ぎ直したときの戻りは、1万円前後の包丁の方が安定します。
毎日使う一本として長く使いたい方には、刃付けや鋼材にこだわった包丁メーカー製の万能包丁をおすすめします。
正直な話、何でも完璧に切れる、というわけではありません。
野菜をトントン効率的に切りたい場合は「菜切」、皮むきや下ごしらえなどの細かい作業をしたいときは「ペティナイフ」、魚を捌きたいときは「出刃」と、切る物に応じて専用の形状があります。しかし、調理中に何本も包丁を使い分けるのも難しいもの。取り急ぎオールマイティに使いたいときは万能包丁を、専用の形状で効率的に快適に作業をしたいときはそれぞれ適した形状の包丁を使わることをおすすめします。
三徳や牛刀は両刃が主流ですが、中には片刃の包丁もあります。
※現在藤次郎では取り扱っておりません
片刃にすることで切れ味が鋭くなる反面、刃が食材に斜めに入るため切り方にコツが必要です。
初めての方にも無理なく研ぎ直しをしていただける方法を詳しくまとめました。
包丁の研ぎ方をご覧ください。
またYouTubeでもわかりやすく研ぎ方解説をしていますので、ぜひ参考にして研ぎ直しにチャレンジしてみてください。
毎日の料理に欠かせない万能包丁は、まさに調理の強い味方。
よい包丁を使えば、料理はもっと楽しく、豊かな時間になります。
ぜひこの記事を参考に、自分にぴったりの一本を見つけてください。
本記事は、包丁の設計・製造・販売に携わるメーカーの知見をもとに作成しています。
使用感には個人差がありますので、サイズ感や重さは実際の数値も参考にお選びください。