2021.07.12 ・ イベント・展示会 / スタッフブログ
ナイフアトリエの職人が製作したオリジナルナイフの開発ストーリーをご紹介いたします。
7/12の「ナイフの日」に向けて、藤次郎ナイフアトリエの職人達がオリジナルナイフを製造しました。その開発ストーリーをお届けします。
今回の開発ストーリーは
ナイフアトリエの職人歴6年目の高橋です。
高橋が今回のナイフの日企画に合わせて製作したのは、アウトドアで使用できる”ブッシュクラフトナイフ”という形状のナイフです。
ブッシュクラフトは様々な呼ばれ方をしますが、”自然の環境を生かした生活の知恵”など、自然にあるものを使う技術のことで、薪割りや火起こしなどの用途がメインです。
高橋は今回アウトドアナイフを製作するにあたって、バトニングにも使用できる頑丈な作りのナイフにしようと決めました。
本格的なアウトドア、山あそびをコンセプトに、フェザースティックや、肉の調理といった用途にも使用出来るナイフを目指します。
バトニングにも使用出来る強度の高いナイフを作るにあたって、鋼材選びが重要になってきます。そこで高橋が目をつけたのは軽トラックの板バネに使用される鋼材です。
板バネの鋼材は加工のしやすさが特徴で、打ち直すことによって粘り強く衝撃に強い刃物となります。出刃包丁も作ることができるそうです。
まずはナイフのデザインから。
とにかくバトニングしたい、という思いからシンプルでタフなナイフをイメージ。
図面に起こしていきます。
ナイフの形状が決まったら、その形状に沿って鋼材を削ります。
くり抜いた刀身材を炉に入れて赤くなるまで(800℃程度)熱し、理想の形状になるように鍛造していきます。
鍛造の工程が終わったら余分な部分をカットし、グラインダーで形を整えます。この工程を型すりと呼びます。
次に、焼入れと焼戻しといった熱処理をすることで、粘りがあって折れにくい刀身へと性質変化します。これでようやくナイフとしてのベースが出来上がりました。
ここからは研ぎの作業に入ります。普段の業務で作る包丁とは違って厚みがあるので、研ぐ作業も倍以上かかります。研ぎの工程を得意とする高橋でも思ったより工数がかかる結果となりました。
切れ味に特化して刃を薄く鋭くすることもできますが、アウトドアでは基本的にそこまで切れ味を必要としないため、切れ味が長続きする耐久度の高い刃に仕上げます。
最後に表面を磨いて目通し仕上げにしました。
これで刀身作りの工程は完了です。
使用したハンドル材はデンマークから輸入した材料で、ちょうど手のひらと同じくらいのサイズ。1つで3,000円くらいするそうです。
天然のブナ材に樹脂を複合させた耐久性に優れた素材で、水をほとんど吸収しないので、湿度による膨張や収縮が少ないという特徴があります。
材料を加工して、タングにボルトで固定をしたらハンドルをデザイン通りになるよう磨いていきます。
ハンドルはボトルシェイプ型にしてグリップ感を高めました。
アウトドアナイフは基本的に持ち運んで使用するため、携帯用のシースを作ります。高橋にとってシース作りは初めての挑戦となりました。
まずは革を切り出す作業から。
刀身が収まるくらいに余裕を持って切り出します。
次にシース内で刃が収まる部分を作るため、革を切り出して重ねます。
そして、シースを縫い合わせる作業。縫い物をするのは学生ぶりとのこと。
縫い合わせたら革を磨いてツヤ出しを行い、シースも完成です。
ナイフも無事ぴったりと納まりました。
板厚があり頑丈な作りになっているので、バトニングだけでなくフェザースティックを作ったり肉を切ったりなど、アウトドアの様々なシーンで大活躍しそうなナイフに仕上がっています。
制作期間は1日1時間程度の作業で2ヶ月ほどかかったそうです。本当にお疲れさまでした!
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※製作したナイフの販売や受注生産は行っておりません。予めご了承ください。
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