2018.09.28 ・  /

道具で味は変わる。安い包丁と高い包丁の決定的な違いとは?

本記事はライフハッカーさんに掲載して頂いた記事の転載になります。

Photo: GENE TV

おいしい料理は食材と語られることが大半ですが、実は道具も大きな影響を持ちます。

 

たとえば、コップでビールの味を変えたり、包丁で玉ねぎが目にしみなくなったりと、料理と道具は切っても切れない関係です。

 

9月15日に開催された新潟県燕市主催のイベント「味わいが変わる料理道具たち」では、料理道具に関わるプロ4人が、知られざる料理道具の世界について語ってくれました。

パネラー: 

・飯田結太 氏(合羽橋 飯田屋 6代目)

かっぱ橋道具街にある料理道具屋飯田屋の6代目店主。料理道具をこよなく愛する料理道具の申し子。TBS「マツコの知らない世界」やNHK「あさイチ」、日本テレビ「ヒルナンデス」など多数の情報番組で道具を伝える料理道具の伝道師としても活躍。

 

・秋山武士 氏(燕三条イタリアンBit オーナーシェフ・燕市PR大使)

新潟県燕市生まれ。新潟調理師専門学校卒業後シェラトン・グランデ・トーキョー・ベイホテル入社。その後ホテルニューオータニ幕張を経て、2007年新潟に戻り、2013年燕三条イタリアンBitをオープン。

 

・堅田佳一 氏(クリエイティブディレクター)

大学卒業後、大阪のデザイン事務所に勤務。家電や事務機器、スポーツ用品等のデザイン開発業務を経験後、新潟県燕市の包丁メーカー「藤次郎(株)」の企画・開発・デザイン部門に勤務。

 

・高野雅哉 氏(燕商工会議所 経営支援課長)

1988年新潟大学経済学部卒業後燕商工会議所入所、2003年共同受注グループ「磨き屋シンジケート」立ち上げ。現在は燕商工会議所 経営支援課長。

料理道具で味は変わるのか?

Photo: GENE TV

「道具で料理の味が変わる」というのは、私たちにとっては少々想像しにくいことです。そもそも何個もフライパンを持っているわけではありませんし、比べて使用することもありません。「できれば費用は抑えたい」というのが本音で、量販店で格安のキッチン道具を買うことが日常化していることも。

 

しかし、道具を変えることで私たちの食体験は圧倒的に変わるといいます。

 

たとえば、数年前から人気に火がついているビール用のタンブラー。実は、このタンブラーの火付け役が、燕商工会議所の高野さんで、研磨加工のスペシャリスト集団「磨き屋シンジケート」の一員として、開発から販売まで関わりました。

Photo: GENE TV

このビール用タンブラーですが、一般的には保温性があり、長時間放置してもビールがひんやりしたままというのが特徴。しかし、磨き屋シンジケートのタンブラーは、ビールの味を変えるというのです。

磨き屋シンジケートのタンブラーは、内側を100分の数ミクロン単位で磨いています。ビールを入れると、泡が3でビールが7の割合に自動的になり、雑味が消えて、ビール本来の酸味やモルトの甘みを感じることができます。

さらに、料理道具屋飯田屋の6代目店主の飯田さんも次のように言います。

Amazonランキング1〜100位までのタンブラーをすべて買って試してみたのですが、磨き屋シンジケートのタンブラーは、泡の立ち方が抜群で、味が変わります。率直にすごいなと思いましたね。

実際イベント後、試飲をさせていただいたのですが、違いはかなりはっきり。タンブラーにいれると、カドが取れてマイドルな味になります。ただ、タンブラーに注いだだけなのに…。

 

これは決してビールの話だけではなく、他の料理道具すべてにいえることです。職人のこだわりによって、道具が変わり、味が変わり、そして体験が変わることを実感しました。

高い包丁と安い包丁の決定的な違い

Photo: GENE TV

世の中の調理道具はほぼすべて、チェックしているというクリエイティブディレクターの堅田さん。海外の展示会にも足を運び、常に最新の情報をチェックしているそうです。

 

そんな堅田さんは、燕三条の包丁メーカー「藤次郎」にてブランディングを担当しており、包丁による違いを教えてくれました。

いい包丁は、お肉や魚をきれいに切れたり、玉ねぎなら涙が出にくかったりするという特徴があります。カットするときにジュース(肉汁や水分)を閉じ込めるというのが重要で、包丁の先がギザギザで切れ味が悪いと細胞を傷つけて、ジュースが出てしまうんですよね。もちろん、うまみも落ちてしまいます。

つまりは、切れ味がいい包丁は、食材の味を壊さないということ。さらに、高い包丁を買う魅力についても言及していました。

どんな包丁でも、プロが研げば切れ味はよくなりますが、切れ味がどれだけ持続するかが、包丁屋さんの腕の見せ所というわけです。

 

藤次郎もプロ向けから家庭向けまでさまざまな包丁をだしていますが、特徴は刃持ちと切れ味の良さ、メンテナンスのしやすさ。

 

どんな包丁でもいずれ切れなくるからこそ、刃持ちの良さが大切です。それが、高い包丁を買う魅力でもありますよね。

切れ味体験

Photo: 島津健吾

その後、燕三条レストランBitのオーナーで燕市PR大使の秋山さんが熟成肉を用意。普通の家庭用包丁と、藤次郎の包丁で切ったあとの、食材の違いを見てみました。

Photo: 島津健吾

こちらが普通の包丁で切った様子。断面が荒く、ジュースが溢れ出ている様子がはっきりとわかりました。また包丁を入れても、なかなかお肉が切れず、時間がかかってしまいました。

Photo: GENE TV

一方、こちらは藤次郎の包丁で切った様子。断面が全然違うことがわかりますよね。サクッと切れたため、お肉に無駄な力がかからず、ジュースも溢れでませんでした。

 

熟成肉はお肉のうまみや肉汁を中に閉じ込めるため、切れ味の悪い包丁を使ってしまうとせかくの努力が水の泡になってしまいます。これは野菜やお肉、フルーツすべての料理に言えることです。

 

藤次郎の包丁なら5000円台から買えるため、そこまで大きな買い物になりません。むしろ、普通の包丁よりも長く使えることを考えれば、コスパはいいと言えるでしょう。

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Photo: GENE TV

 

Source: 燕三条 工場の祭典

島津健吾

 

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